あるアメリカの労働団体が日本の労働事情の調査に来ました。東京のいろいろな企業を訪問して、アメリカとの違いを研究するために日本を訪れました。
今回の調査団のテーマは「日本の労働者はなぜこれだけ長時間キツイ労働をしても、こころの病気にならないのか」でした。
アメリカ人にとって、日本人が長い時間がむしゃらに働いている姿は異様に映るだけでなく、なぜ精神状態を維持したまま仕事が続けられるのかが不思議でしょうがないようです。
調査団のメンバーは「さぞ、優秀なカウンセラーが企業にいて、労働者のこころのケアをおこなっているんだろう」という仮説を持って日本の企業を訪れましたが、どこの企業もカウンセラーなど常駐していません。調査団の疑問は解けぬまま、調査は最終日をむかえました。最後の企業を訪問し終わると、日本の受入組織の代表が「せっかく日本にお見えになったので、最終日くらいお酒でも飲みましょう」と言って、調査団のメンバーを銀座の高級クラブに連れて行きました。 メンバーはそのクラブでホステスたちに囲まれながら、閉店まで楽しく飲み明かし、そして最後にみんなが口々に言いました。「日本の最高のカウンセラーは銀座にいた」と。 |