このメルマガをお読みの方の中には、日々カウンセラーとして人の相談を受け ている方や、これからカウンセラーを目指している方もおみえになると思いま す。今回は「カウンセラー」という職業についてお話しさせていただきます。
日本では「カウンセラー」という国家資格はありません。だから「私は医者です」「私は弁護士です」というのは資格を取得していないと名乗れませんが 「私はカウンセラーです」というのは誰でも名乗ることができます。中には、 「○○協会」が認定しているカウンセラーを取得している場合や、会社の中で 「社内カウンセラー」の制度があって「私はカウンセラーです」と名乗っている方もみえます。占い師や宗教団体で布教活動をしている人がカウンセラーと名乗っている場合もありますし、団体や資格と全く関係なく「人の相談を受けたことがある」という方でも「私はカウンセラーです」と名乗っても問題はありません。
私も10年ほど前に「日本メンタルヘルス協会」の公認カウンセラーの資格を取ってから本格的にカウンセリングを始めました。その後、「日本産業カウンセラー協会」のカウンセラー資格も取得しました。学生時代に心理学やカウンセリングは学んだことはありません。今は研修講師が仕事ですので、直接カウンセリングをする仕事ではありません。ただ、個人的に人の悩みを聴くことはあ
ります。そんなときには「私はカウンセラーです」と今でも名乗っています。
つまり、カウンセラーという職業はその仕事を主な生業(なりわい)として生活しているかにどうかではなく、カウンセラーの資格を持っているか持っていないか、カウンセリングや心理学を勉強したことがあるかないかに関係なく、有償か無償かを問わず、誠意を持って相談者(クライアント)の悩みなどを聴く職業といえるのではないでしょうか。
私は「カウンセラー」という職業はしみ抜き屋の職人と一緒だと思っています。
いい仕事をすればするほど結果が見えなくなる。カウンセラーはプライバシー保護の観点から「この仕事は私がやりました」と人に自慢することはできません。風邪が治った患者が医者にお礼を言いに行かないのと同様に、カウンセリングによって症状が良くなってもお礼を言われることは少ないです。また、相談者(クライアント)がカウンセリングによって悩みを解決しても、他の人よ
り結果(パフォーマンス)が特別に良くなるわけでもなく、周りに溶け込んでしまうため効果も見えにくいのです。
それでも、カウンセラーは相談者(クライアント)のために日々相談を受け続けます。しみ抜き屋の職人が自分の仕事の結果が見えなくなって、その結果を自慢することはできなくて、お礼を言われることがないことをわかっていながら、一生懸命に服についたしみを抜くように・・・。日本中のカウンセラーのみなさんに感謝です。そして、これからカウンセラーを目指す方にエールを送りたいと思います(終)。
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