安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
溜めすぎ、凝りすぎ、感情不足

昨年12月に企業でのストレスチェックの実施が義務化されました。このコラ
ムをお読みの多くのみなさんが、今後は年に一回は自分のストレスチェックの 結果を目にすることになります。今回、ストレスチェック実施が義務化された のは、労働者が自分のストレスを定期的にチェックすることで自分のこころの状態を知り、結果が悪かった場合は自分で原因を考えて、自分でしっかりと対処することが大きな目的です。

以前から定期的に実施が義務付けられている「体の健康診断」の目的も一緒です。定期的に自分の体の状態を知り、結果が悪かった場合は自分で原因を考えて、自分でしっかりと対処することが目的です。体の健康の結果が悪くなる多くの原因は「食べすぎ、飲みすぎ、運動不足」です。このような「悪い生活習慣」に気づき、自分でこれらの習慣を変えていくことが大切なのですが、そのまま何もしなかったり、習慣の変え方が不十分だと「生活習慣病」といわれる病気になってしまいます。

厚生労働省によると、生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されています。代表的なものとして、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満、心臓病、脳卒中などがあります。以前は成人病と呼ばれていましたが、成人病は若い頃からの悪い生活習慣によって起こることがわかり、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称しました。

悪い生活習慣を変えるのは、あくまでも自分自身で行なう、つまりセルフケアです。生活習慣病になりかけると、病院や医者は「脂肪の数値を落とす薬」や「血圧を下げる薬」を処方してくれますが、生活習慣を変える薬は処方されません。同様に、ストレスで病気になりかけると、病院や医者は「ストレスによる落ち込みを和らげる薬」や「不眠というストレスの症状を緩和する薬」を処方しますが、ストレスを無くす対処はしてくれません。「ストレスを無くす薬」は存在しないのです。

たまったストレスに対処するには、自分から生活や行動や考え方を変えていくことが大切です。自分でストレスがたまっていることに気づき、自らリラクゼーションやストレス発散を行ない、そして仕事や生活でストレスを感じにくいにくい生活習慣に改善していく・・・セルフケアが大切なのです。そこで、仕
事や生活でストレスを感じにくい生活習慣に改善していくために、私がみなさんに提案したいのが「溜めすぎ、凝りすぎ、感情不足」の解消です。

ストレスの「溜めすぎ」は病気への近道です。趣味やスポーツなどの自分が楽しめることを充実して、定期的にストレスを解消しましょう。また、ストレス
溜めすぎのせいで不満やイライラを人にぶつけることが人間関係悪化の原因にもなります。早めに溜めすぎに気づいて、自分で対処しましょう。

仕事に凝ること、つまり仕事に集中したり、夢中になることは決して悪いこと
ではありませんが、仕事の「凝りすぎ」はこころの緊張状態が長く続くことで
こころの疲弊につながり、こころの不調の原因になります。また、仕事で細かいことに凝りすぎると、他のメンバーの仕事に影響を与えたり、職場のチームワークを乱したりと人間関係悪化の原因にもなります。早めに凝りすぎに気づいて、適度に集中することを心掛けましょう。

仕事や生活ではできるだけ笑ったり泣いたりなど、感情を表わしましょう。自
分の感情を思い切り表わすと、カタルシス効果(はきだし効果)でストレス解
消になります。また、論理的な考え方は仕事に必要ですが、時には感情的な考え方も必要です。論理的になりすぎて、職場の人間関係が悪化することもあります。時にはデジタル的な考え方ではなくアナログ的な考え方を、客観的な考え方よりも主観的で人の感情を考慮した考え方をするようにしましょう。「感情不足」は自分にも周りの人にもマイナスの影響を与えます。

以上のように、体では「食べすぎ、飲みすぎ、運動不足」に注意しながら、こ
ころでは「溜めすぎ、凝りすぎ、感情不足」という悪い生活習慣を自分の力で変えていって、こころの不調の予防をしましょう(終)

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