安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
4つのソーシャルサポート

昨年12月に企業へ義務付けられたストレスチェックの実施について、厚生労働省はストレスチェックでは次の3項目について検査するよう「労働安全衛生規則 第52条の9」で定めています。1つ目は「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」、つまり職場のストレス要因についてです。
2つ目は「当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」、つまり労働者のストレス反応についてです。そして、3つ目は「職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目」、つまり上司や同僚のサポートについてです。

1つ目の「職場のストレス要因」は少なければ少ないほど、労働者のストレス状態は良くなります。2つ目の「労働者のストレス反応」も少なければ少ないほど、労働者のストレス状態は良いことになります。ただ、3つ目の「上司や同僚のサポート」は多ければ多いほど、ストレス状態が良くなる項目です。どんなに仕事がきつくても、仕事が忙しくても、職場の上司や同僚が仕事の支援をしてくれれば、労働者のストレスは軽減されるのです。このような職場の上司や同僚による支援のことをソーシャルサポート(社会的支援)といいます。
「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 公式テキスト U種ラインケアコ
ース 公式テキスト」によると、「ソーシャルサポートには、情緒的サポート、
情報的サポート、道具的サポート、評価的サポートの4つがある」としていま
す。

職場の上司や同僚がこの4つのサポートをすることによって、労働者にとって自分が抱えるストレスに対する「クッション」のような役割をすることになり、 ストレスが緩和されます。では、この4つのサポートはどんなものかを具体的 な事例を紹介しながら説明します。たとえば、ある人が普段やっている仕事に加えて「会社創立50周年」を企画する全社的なプロジェクトの仕事を与えられ、普段の仕事が定時に終わらず、しかもプロジェクトの仕事もアイデアが浮かばないようで、毎日残業をしている状況だとします。こんなときに、職場の上司や同僚はどんなソーシャルサポートをしたらいいでしょうか。

「がんばってるね」、「お疲れ様」などと声かけをしたり、「大変だね」、「プロジェクトが終わるまでの辛抱だよ」などと慰めをしたり、その人の愚痴を聴いてあげるなど、本人の情緒を安定させることを目的にしたサポートが「情緒的サポート」です。そして、本人の普段の仕事のことで効率的な仕事の進め方についてアドバイスをしたり、「創立40周年のときのプロジェクトは○○さんが担当していたから聞いてみなさい」と本人が必要とする専門家を紹介するなど、問題解決に役立つ情報を与えるのが「情報的サポート」です。また、本人の仕事を職場のメンバーで手伝ったり、新しく社員を採用して人員を
増やすなど、問題解決のために直接本人に物質的な手助けをするのが「道具的サポート」です。さらに、「よくがんばったね」、「いつも助かっているよ」
と本人の努力をほめたり、仕事の結果を適切な人事考課で評価するなど、仕事の良い点や適切さを本人にフィードバックするのが「評価的サポート」です。

特に、職場のメンバーをマネジメントする「上司」の立場にある人はこの4つ
のソーシャルサポートを効果的に部下たちに与えることで、職場のストレスを軽減していくことが重要です。具体的には、普段から部下にこまめに声かけをしたり、部下の愚痴を聴いたりする情緒的サポートを行ないつつ、必要があれば部下へのアドバイスなどの情報的サポートや仕事を手伝うなどの道具的サポートを提供し、仕事の経過や結果に対して適切な評価的サポートを行うという包括的なソーシャルサポートに努めることが必要です。

また、職場のメンバーそれぞれが4つのソーシャルサポートを他のメンバーに提供することで、職場全体がお互いにサポートし合う雰囲気を作り出し、結果的に職場の人間関係ストレスも軽減されます。今回のストレスチェックの結果で上司や同僚のサポートの数値が悪かった人は、まずは自分から積極的に他の職場のメンバーに対する仕事のサポートをしてあげましょう。きっと職場にサポートし合う雰囲気が出来上がって、次回のストレスチェックの結果では数値が改善するでしょう(終)。

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