4月に入り、多くの企業や自治体で新入社員・新入職員が入社・入職されたと思います。私にとっては新入社員・新入職員のストレスマネジメント研修が増える季節です。そこで、今回は新入社員・新入職員を教育する立場の教育担当者や上司・先輩の立場の方に新入社員・新入職員に伝えていただきたい「ストレスの軽減法」についてお話ししたいと思います。
全国健康保険協会(協会けんぽ)HPの「季節の健康情報」に、早稲田大学人間科学学術院教授の竹中晃二氏が監修された次のような話が掲載されています。
私たちの生活では、さまざまな感情を伴う出来事が日々起こっています。人生は悪いことばかりではないのですが、プレッシャーのかかる仕事や人間関係の不調などストレスを伴う出来事が続くと、私たちは落ち込んだり、将来に対して不安を感じたりしてしまいます。このような状態になると、「こころのメタ
ボ」が現れます。
こころのメタボとは、「メ」が「面倒くさい」、「タ」が「ため息をつく」、「ボ」が「ボーッとする」の3つの頭文字から、いわゆるうつ気分(やる気が出ない、くよくよする、落ち込む、マイナス思考が多い)や不安(先のことが気になる、心配性である、嫌なことを避ける、他人の目が気になる)などの気持ちや症状を表します。「こころのメタボ」が大きくなってくると、何となく 体がだるくなって、何もやる気がしなくなります。「こころのメタボ」を小さくして、明るい気持ちを持つために、「こころのABC活動」に取り組むことをお勧めします。
「こころのABC活動」はメンタルヘルスが良好な人、つまり「こころのメタ
ボ」を日頃から小さくできている人が日常生活で意識して行なっていることに
注目しています。それらは大きくA(Act:アクト)、B(Belong:ビロング)、
C(Challenge :チャレンジ)の3つに分けることができます。A(アクト)はこころも体も人とも活動的になる行動を指します。こころのアクトとは好きな趣味や音楽に興じたり、好きな本を読むこと、体のアクトとは運動やスポーツだけでなく庭仕事や家事を積極的に行なって体を動かすこと、人とのアクトとは友人や家族とおしゃべりしたり、長電話することなどです。これらのアクトは多くの人にとって良い感情、つまり「良いことがあった」という報酬を得やすい行動なのです。
B(ビロング)は趣味の会、食事会、友人との会、スポーツの会など、何かの
組織や同好会など、正式な会でなくても集まりやクラブに加入し、そこに自分のアイデンティティを意識したり、帰属感を持ったりすることです。組織や会に参加すると、周囲の人からサポートを得やすくなります。C(チャレンジ)
は困っている友人の相談にのる、ボランティア活動をする、動植物の世話をするなど、何かに献身することです。また、目の前でできる新しい挑戦、たとえばウクレレなど初めての楽器を習い始めたり、新しい勉強を始めるなど、無理のないチャレンジをすることも含みます。
人生は「山あり谷あり」です。良いことも悪いこともあるものですが、悪いこ
とばかりに目を向けていると、気分はどんどん落ち込んでしまうものです。良
いことに目を向けて行動することで、こころの状態は良い方向に向かっていきます。みなさんも特別なことではない、気軽にできる「こころのABC活動」
をしてみませんか(終)。
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