「一読、十笑、百吸、千字、万歩」とは「心身ともに健康で長生きするため
の知恵」を簡単にまとめたものです。医師で杏林大学名誉教授の石川恭三先生が健康保険組合連合会(けんぽれん)のHPに連載されている健康コラム「Dr.石川の健康長寿ナビ」で紹介している言葉です。
石川先生によると、一読とは「一日に一度はまとまった文章を読みましょう」
ということで、新聞でも雑誌でも本でも、好きなものを選んで読めばいいそ
うです。先生のお薦めは新聞の社説だそうです。社説を読むにはせいぜい
10分もあれば充分でしょうから、それほどの苦痛にはなりません。これだ
けでも結構いい頭の体操になり、認知機能がアップすることで認知症予防の一助になります。私も研修では「本などを読むことで現在抱えている悩みやネガティブな感情から一時的に離れることができ、気分転換になることでス
トレス解消効果がある」と伝えています。
十笑とは「一日に少なくとも十回は大笑いするようにしましょう」ということです。笑うことで免疫機能が強化され、ガンの進行が抑制されると言われています。以前に、この「今月の一言」でご紹介しましたが、アメリカの有名なジャーナリストであるノーマン・カズンズ氏は入院中に喜劇などのビデオやコミック漫画などのユーモアの本を病室に持ち込み、それを見て朝から晩まで笑っていたら病気が治りました。また、大阪の「なんばグランド花月」で十数人のガン患者に漫才や吉本新喜劇を3時間観てもらって、思い切り笑
ってもらうことで、多くの患者のガンの進行が止まったそうです。このようなことから、笑うことで免疫機能が強化されることが理解できます。私も研修では「笑うことがストレス解消になる」と伝えています。
百吸とは「一日に少なくとも百回は深呼吸しましょう」ということです。深呼吸すると、副交感神経が優位になることで脈拍が遅くなり、血圧は下がり、
筋肉の緊張が低下し、動脈中の酸素が増加します。また、深呼吸をすること
で普段無意識に行っている呼吸を感じることで「今、ここ」の大切さを実感
でき、過去の出来事に対する囚われや将来への不安からの解放につながります。さらに、「自分は生きているんだ」ということを感じることで自分の存
在感を再認識することができます。私も研修では「呼吸を整えてリラックス
することでストレス解消になる」と伝えています。
千字とは「一日に千字くらいは文字を書きましょう」ということです。日記や手紙を書くのがいいそうです。文章を書くにはいろいろと頭を使わなくてはなりませんし、ときには辞書を引かなくてはなりません。文字を書くことで認知機能がアップし、認知症予防に役立ちます。私も研修では「日記を書いたりブログに書き込んで更新することによって、人に相談してこころにたまった感情を吐き出すことと同じ効果があり、それがストレスの解消や怒りの感情のコントロールにつながる」と伝えています。
万歩とは「一日に一万歩は歩きましょう」ということです。足は第二の心臓
とも言われ、歩くことで下肢にたまっている血液が心臓に戻りやすくなるそ
うです。また、歩くことは骨に加重をかけることで骨芽細胞を刺激し、破骨
細胞の働きを抑制するので骨粗しょう症の予防にもなります。さらに歩くこ
とは、メタボリック症候群の予防やストレス解消、認知症の予防に役立つそ
うです。私も研修では「ウォーキングなどの軽い有酸素運動が心肺機能のアップや気分転換などにつながりストレス解消になる」と伝えています。
このように、「一読、十笑、百吸、千字、万歩」を毎日実践することで、心身ともに健康に仕事や生活をすることができ、いつまでも長生きできるのです。みなさんもまずは毎日、「一読、十笑、百吸、千字、万歩」という言葉を唱和して、「その日にやっていないこと、できていないことをやってみる」
ことからはじめてみてください(終)。
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