安全JAWSちゃんのハートLetter
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「やっぱり派」と「まさか派」

私が20年以上観ているテレビ番組に「開運なんでも鑑定団」があります。
鑑定を依頼した出品者が東京のスタジオや番組が出張した収録先に持ってきた骨董品などの「お宝」をプロの鑑定士が「いくらの価値があるか」を鑑定し、番組の中で出品者がそれを当てるというクイズ形式になっていて、視聴者も一緒に考えられるバラエティ番組です。極めて簡単に言うと、「お宝」
が本物かニセ物かを見分ける内容です。

この番組は視聴者が自分で鑑定士になったように、その「お宝」が本物かど
うかを予想して、プライス決定後に「やっぱり本物だった」「やっぱりニセ物だった」と納得することで満足を得ることで多くの視聴者から人気があるのだと思いますが、この番組がこれだけ長く続き人気がある要因は、長くこの番組を見ていて「自分もプロの鑑定士だ」という自覚のある視聴者でも、 自分の予想が外れて「まさかこれが本物?」「まさかこれがニセ物?」という鑑定結果になるところにあると思います。

さて、人間には「やっぱり」に満足する「やっぱり派」と「まさか」に満足する「まさか派」がいると私は思います。「やっぱり派」の人は、どちらかというと自分の今までに勉強してきた知識やスキルに自信を持っていて、 「自分の知っていること」を中心に物事を考えるタイプです。逆に、「まさか派」の人は自分の今までに勉強してきた知識やスキルに満足せず、常に新しい知識やスキルを追い求めていて、「自分の知らないこと」を中心に物事を考えるタイプです。

例を挙げると、私が研修を行った後の受講者のアンケートに「研修の内容は
全部知っていることばかりでした」と書く人は「やっぱり派」、「研修の内容は知らないことばかりでした」と書く人は「まさか派」です。「やっぱり派」の人は今まで専門的な勉強をしていて、本当に知識を持っているので「全部知っている」と言っていて、「まさか派」の人は勉強嫌いの人で、本音で「知らないことばかりでした」と言っているかもしれないので、単純にどちらがいいとは言えませんが、「研修の受講後に受講者が行動変容する」という効果を考えたときには、間違いなく「まさか派」の人のほうが行動変容につながりやすい、つまり研修の効果が表れやすいと思います。

「やっぱり派」の人は仕事の課題や目標をクリア(達成)したときに「自分ならクリアできて当たり前だ」と考えて、自分の感情をあまり動かさない傾向がありますが、「まさか派」の人は「まさか自分の力で課題をクリアできると思わなかった」と考えて、「でも、まだクリアできていないところもあったので、そこは次回にはクリアできるよう努力しよう」と自分の感情をプラスの方向に持っていくことで、自分の行動を変えていく傾向があります。

また、「やっぱり派」の人は「まさか」に慣れていないので、自分の身に起こった思いもよらないマイナスな出来事に対して、気分の落ち込みが大きくなる傾向があります。「まさか自分がこんなミスをするとは思わなかった、もっと考えて行動すればよかった」「なんで彼が昇格したのに私が昇格できないんだ、納得できない」という後悔や怒りなどのマイナス感情が出やすくなります。言い換えれば、「やっぱり派」の人は危機管理意識が低い人とも言えるでしょう。逆に、「まさか派」の人は「まさか」のときのために「も しかしたら、こんなことが起こるかもしれない」「たぶん、あの人はこんなことを言うんじゃないか」と普段から心がけているので、自分の身に起こった思いもよらない出来事に対してもすぐに対応でき、マイナスの感情も発生しにくくなるのです。

さて、みなさんは「やっぱり派」ですか、それとも「まさか派」ですか。「自分の知っていること」を中心に物事を考えるタイプですか、それとも「自分の知らないこと」を中心に物事を考えるタイプですか。「やっぱり」 が口癖ですか、それとも「まさか」が口癖ですか。一度、考えてみましょう
(終)。


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