安全JAWSちゃんのハートLetter
過去の記事
ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
SOGIハラスメント

私がハラスメント防止研修で受講者に「トイレを男性用と女性用に分けるの
は、差別になるか、ならないか?」と質問し手を挙げてもらうと、多くの受 講者が「差別にならない」に手を挙げます。「でも、どちらのトイレに入っていいか悩んでいる人がいることをご存知ですか?」と確認すると、正解を言う前に気づく受講者が出てきます。「LGBTなどの性的マイノリティの中には差別に感じる人がいるんです。『性別は男性と女性の2種類だ』という思い込みは、知らない間に偏見や差別、そして職場のハラスメントにつながることがあります。国籍や人種や信仰する宗教と同様に、性別にも多様性があるということを理解しましょう。」と研修では受講者に伝えています。

私がLGBT当事者の団体が主催するセミナーに参加したときに、性のあり
方(セクシャリティ)には4つの要素があることを知りました。まずは、 「からだの性」です。これは染色体や遺伝子情報などから判断される「生物 的な性」のことです。次に「こころの性」です。これは自分で自分の性をどう思うかという、いわゆる「主観的な性(性自認)」のことです。3つ目は「性的指向」です。これは誰を好きになるかという「自分が好きになる性」のことです。4つ目は「性役割」です。これは服装や言動が男らしいか女らしいかという「社会的・文化的な性」のことです。

セミナーでは、この4つの要素が書かれた用紙に自分が「男」か「女」かを 選択して、1〜10までの数字を記入するワークがありました。私は男性の
性器があるので「からだの性」には男に○をつけましたが、数字は2になり
ました。実は、私はヒゲがあまり生えず、月に一回ぐらいしか剃らないので
「からだは女性に近いかな」と思ったからです。このように、自分の性につ いて確認してみると、性のあり方は人それぞれで、多様性があるということ
に気づきます。

そのセミナーでもう一つ学んだのが「SOGIハラスメント」という言葉です。「SOGIハラスメント」は好きになる人の性別(Sexual Orientation)と自分の主観的な性(Gender Identity)の頭文字「S・O・G・I」をハラスメントと組み合わせた造語です。厚生労働省が定めたセクハラ指針が2017年1月に改正され、「被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となるものである」の一文が追加されました。これにより、男性や女性へのセクシュアルハラスメントに加え、LGBTなどの性的マイノリティへの性的言動も職場におけるセクシュアルハラスメントの対象になりました。

SOGIハラスメントは「性的マイノリティへのセクシュアルハラスメント」という考え方をもう一歩進め、男性や女性や性的マイノリティという限定的な性だけではなく、多様性のある性のあり方について、人の持つ「すべての性」に対して行なわれる差別や偏見、そして相手に精神的な苦痛を与える言動のことです。

職場の仲間に対して、「男女?どっち?」「体はどうなってるの?」などの
質問をすることや「同性愛は気持ち悪い」などの発言をすること、「あの人
はホモ(ゲイ)じゃない」などの噂を流したりすること、「そっち系(あっち系)」などの隠語を使うこと、「オネエ」「ホモお」などのニックネームで呼ぶこと、服装などについて「もっと男らしくしろ」などの意見を言うことなどで精神的な苦痛を与えることが「SOGIハラスメント」にあたります。

職場の「SOGIハラスメント」を防ぐためには、性のあり方の問題をすべ
ての人が自分の問題として捉えることが重要です。みなさんも、一度「自分
の性のあり方」について考えてみましょう(終)。

このページを閉じる