まずはクイズです。次の○に漢字を入れて四字熟語を完成させてください。
「 ○ 肉 ○ 食 」
正解は「弱肉強食」です。「焼肉定食」と答えた方は知識欲より食欲が勝っ
ている人です。今回は、私たち人間も含まれる弱肉強食の生態系ピラミッド
の中で進化し続けるネズミ「スーパーラット」のお話です。
「ラット」はネズミのことですので、スーパーラットは正義の味方のネズミ
のこと・・・ではありません。スーパーラットとは人間が長い間、大量の殺鼠(さつそ)剤でネズミを駆除しつづけたために、体がその毒に適応してし
まい、その結果として誕生した「薬が効かないネズミ」のことです。スーパーラットは昔からいた「ドブネズミ」だと思われていましたが、「ドズネブミ」が肉食で、天井よりも床下を好むという生態とは逆に、スーパーラットは植物系の食べ物を好み、高いところを好むため調べたところ、その大半は東南アジア産の「クマネズミ」であることが判明しました。
スーパーラットはここ数年、大都市圏で爆発的に増加しています。最近のビ
ルは地震対策で耐震構造になっているために空洞が多く、スーパーラットに
とって住みやすい環境になっているようです。彼らは電線を伝うことができ、
壁やパイプなど垂直な場所でも移動してしまうという高い運動能力を持ち、
体長は20cmほどでドブネズミよりも小型のため、2cmほどの穴があればど
こからでも進入してしまうというやっかいな存在です。また、ネズミ一般に言えることのようですが、寿命は2年ほどで、2ヶ月に5匹ほどの子供を産むそうです。いわゆる「ネズミ算式」に増えるというのはここからきています。また、スーパーラットは高い学習能力を持ち、粘着シートに捕らえられた仲間を見たりすると「これは危ない」と記憶し、同じワナには絶対かからないそうです。
ペストなど様々な病原体の運び屋になる危険な動物として、かつては家庭でも学校でもネズミ駆除に十分注意を促していました。その甲斐あって、この30年ほど彼らの姿をあまり見かけることはなくなりましたが、飽食と無関
心のこの時代のスキを突いて、ネズミの逆襲が始まりました。うわべの小綺
麗さの陰で、スーパーラットは深刻な衛生的危機が日本に訪れていることを
警告しているのではないのでしょうか。
また、スーパーラットの台頭は「人類の存亡」にも一石を投じています。結局、人間が生態系ピラミッドに逆らうようなことをすると、それを上回る新種の誕生といったようなしっぺ返しがきて、人間は滅びるのかもしれません。
インフルエンザウィルスやコロナウィルスもそうかもしれないです。抗生物
質が全く効かないウィルスが発生し、それを撲滅しようと薬を強くすればす
るほど、それを上回る新種が出てくるのです。弱い種は淘汰されてしまいま
すから、生き残るものは強い遺伝子を持っていることになります。スーパー
ラットの誕生も同じ事情なのです。
スーパーラットは他の種類のネズミが淘汰されても、弱肉強食の世界でこれからも進化して生き残っていくでしょう。私たち人間の社会もグローバル化が進む中で、ますます弱肉強食の世界になってきました。私たちがこのような社会の中で、様々なストレスに接しながら生き残っていくためには、スーパーラットのように自分に襲い掛かるストレスに適応する能力(ストレス耐
性)を高めていくことで自ら進化し、この社会を生き抜いていくことが必要
なのではないでしょうか(終)。
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