私が大好きな食べ物に「寿司」があります。特に好きなネタは「ヒラメのエ
ンガワ」と「マグロの中トロ」です。ヒラメとマグロはともに魚ですが、その特徴には様々な違いがあります。そして、人間にも「ヒラメに近いタイプの人とマグロに近いタイプの人」がいて、企業の中にも「ヒラメ社員とマグロ社員」がいるといわれています。みなさんはヒラメ社員ですか、それともマグロ社員ですか。
ヒラメとマグロは共に魚ですが、体のつくりは大きく違っています。まず、
大きな違いは「目(眼)の位置」です。ヒラメは体の上に目が付いていますので、自分の体より上しか見ることができません。それに対してマグロは体の横に目が付いていますので、上下左右前後の全方位を見ることが可能です。
つまり、ヒラメはいつも上ばかり見ながら生活をしているのに対し、マグロ
は自分の周りをよく観察しながら生活しています。
そして、もうひとつ大きく違っている点があります。それは「体の肉の色」
です。みなさんはヒラメの刺身とマグロの刺身を食べたことはありますか。
ヒラメは刺身の色が白色の部分が多く、マグロの刺身の色は赤色が多いです。
刺身は動物で言えば「筋肉」の部分です。ひとくちに筋肉と言いますが、筋
肉には速い運動に使われる筋線維である「速筋」と、遅い運動に使われる筋
線維である「遅筋」があります。速筋は刺激にただちに反応して、瞬間的に
大きな力を出します。ただし、すぐに疲れてしまいます。これに対して遅筋は、瞬発力は小さいですが、ゆっくり力が持続します。速筋は白い色をして
いるので「白筋」、遅筋は赤い色をしているので「赤筋」と呼ばれます。ニ
ワトリなどの飛べない鳥の筋肉は白色が多くハトなど長時間空を飛びつづ
ける鳥の筋肉は赤色が多くなっています。白筋の多いニワトリは猫などの敵
が来ると、ハトのように飛んで逃げることはできませんが、瞬発的に翼を羽
ばたいて逃げることができます。
鳥と同様に、海の底に潜んで長距離を泳がないヒラメは白身魚になりますが、
広い海をずっと長時間泳ぎつづけるマグロの刺身は赤身になるのです。言い方を変えると、ヒラメは白筋が多いので、あまり動くと疲れるため狭い行動範囲の中でエサを探さなければならないのに対し、マグロは赤筋が多く運動量が多いため、いろいろなエサを探すことができます。また、敵が現れた時にはヒラメが砂の中に身を潜めるのに対し、マグロはその全方位を見渡せる
「目」と自慢の「赤筋」を十分に活かして、ハトのように逃げることができます。
さて、企業の中にはヒラメ社員とマグロ社員がいるといいましたが、ヒラメ
社員はいつも自分の上司や社長・役員などの上ばかり見ていて、あまり部下や非正規社員などの立場が低い人、つまり下を見ていません。それで下、つまり現場(職場)で何が起こっているのか気づくことができません。また、
行動範囲が狭く、すぐに仕事に疲れてしまって、仕事の集中力もありません。
また、冒険を望まず、新しい仕事を求めることもしません。さらに、自分に都合の悪いことが起こると隠れてしまいます。
一方、マグロ社員は常に職場で自分の部下や周りの人に目を配っています。
自分の部下や周りの人の話に耳を傾けて、現場で何が起こっているかをいつも考えています。また、社内外を問わず広く行動し、いつも新しい仕事を探しています。さらに、体力も十分にあり、自分にピンチが来ても対応する能
力を身につけています。
さて、最初の質問に戻ります。あなたはヒラメ社員ですか、それともマグロ
社員ですか(終)。
|