昨年、漫画「鬼滅の刃」が大ブレイクしました。私も単行本とアニメのＤＶ
Ｄは全部見て、公開された映画も観ました。この作品には、様々な個性的な
キャラクターが登場しますが、私が一番好きなキャラクターは「善逸（ぜんいつ）」です。彼は主人公の炭治郎と同期の「鬼殺隊（鬼を狩る組織）」の剣士で、耳が良くて鬼の音を聞き分ける能力を持っています。普段は自分に自信が持てない性格で、しばしばネガティブな発言をして炭治郎や周りの人
を困らせる存在ですが、極度の恐怖に陥ると眠りに落ちて、別人のような性
格へと変わることで、雷のように瞬く間に鬼の身体を両断します。

善逸のネガティブな発言は登場するたびに出てきます。彼が鬼殺隊の最終選別試験を乗り越えたときは「死ぬわ、死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ、ここで生き
残っても結局死ぬわ、俺」と言っています。また、初対面の女性にプロポー
ズをして炭治郎に止められときには「俺はな、もの凄く弱いんだぜ、舐める
なよ、俺が結婚できるまで、お前は俺を守れよな」と、炭治郎を困らせるよ
うなネガティブな発言をしています。

話は変わりますが、最近は「お笑いコンビ　宮下草薙」のネガティブ漫才が
ヒットしています。草薙が一人で勝手にネガティブな妄想を膨らませてパニ
ックに陥るところで、宮下が「考え過ぎだよ」などと優しくツッコミをするという掛け合いが人気になっています。「オンライン飲み会」というネタでは、草薙が「難しそうでオンライン飲み会はきっとうまくできない」と言うと、宮下が「普通の飲み会と変わらない」と突っ込みます。すると、草薙が続けて「しょうもない家に住んでいるなとバカにされるんじゃないか」、「飲み会が始まったら催眠術をかけられるんじゃないか」、「気がついたら犬がオシッコをしているポーズをさせられているんじゃないか」と次々にネガティブな発言をしていき、宮下がその度にツッコミをして、「やっぱり、やめとくわ」、「勝手にしろ！」で終わります。

この時期に善逸や宮下草薙のネガティブな発言に人気が集まるのは、「新型コロナ感染拡大」により人々の不安が大きくなっていることが考えられます。
そんな状況の中、善逸や宮下草薙のネガティブな発言に共感する人が増えているのかもしれません。だた、このようなネガティブな発言を聞いて、それ
に「わかるわ、その気持ち」と共感することで安心感を得ることも大切です
が、ストレスの専門家から言わせてもらえば、このようなネガティブな発言
はネガティブな考え方、そしてネガティブな感情につながり、こころの不調
を起こすことも考えられます。

そこで、自分に降りかかるネガティブな言葉や出来事に対して、それをポジ
ティブにとらえて楽しく仕事や生活をしていくためヒントとして「ネガポ辞典」（ネガポ辞典制作委員会、主婦の友社）を紹介します。この辞典には、自分が人から言われたネガティブな言葉や自分に起こったネガティブな出来事などの「ワード」ごとに、そのワードをポジティブに変換した具体的な例が掲載されています。代表的な変換例を紹介します。

＜「あなたは○○だ」とネガティブな言葉を言われたときの変換例＞
・「あなたは緊張感がない」→「私は肩の力が抜けている」
・「あなたはあきらめが早い」→「私は切り替えが早い」
・「あなたは存在感がない」→「私はまわりにとけ込める」
・「あなたは協調性がない」→「私はひとりの時間を大切にできる」
・「あなたは頭が固い」→「私は芯が強い」
＜「自分は○○した」とネガティブな出来事が起こったときの変換例＞
・「自分は失敗した」→「今回は成功へのかけ橋になった」
・「自分は不幸になった」→「これから幸せになれる」
・「自分は上司に怒られた」→「またひと回り成長できる」
・「自分は引きこもりになった」→「私は蝶になる前のさなぎ」
・「今日はフンを踏んだ」→「靴を磨くいい機会ができた」

みなさんもネガティブな言葉や出来事をポジティブに変換してみましょう。
人から「あなたは新型コロナに対して心配しすぎだ」と言われてネガティブ
な気持ちになったら、「私は常に新型コロナに対するリスク管理ができてい
る」と切り替えて、ポジティブな気持ちになりましょう（終）。