私が昭和62年(1987年)に新卒でデパートに入社して、約20年働いてい
る間に「仕事に関することで大きく変わったこと」のベスト5は以下の通りです。
第1位「表計算ソフトが導入された(売上などの表が手書きでなくなった)」
第2位「商品代金の合計計算が電卓からバーコードに変更になった」
第3位「給料の支払いが現金から振り込みに変わった」
第4位「社内文書が手書きからPC作成・プリントアウトに変わった」
第5位「連絡方法が固定電話中心から携帯電話中心に変わった」
第1位「表計算ソフトが導入された」については、私が入社したときに配属
された部署(子供用品売場)では、レジでの一日の売上を品番ごとに分けて日計表に手書きで記載し、それを月別売上表に転記して、月ごとに売上報告をしていました。それをまた上司たちがフロアごとの月別売上表に転記して、各フロアの責任者がまたその数字を転記して全店の月別売上表が出来上がっていたと思います。それが、表計算ソフトが導入されることで、全部自動計算されるようになったのです。
第2位「商品代金の合計計算が電卓からバーコードに変更になった」につい
ては、私が入社したときの(お客様が購入された)商品代金の合計計算は電卓(電子式卓上計算機)を使っていました。消費税が導入されて商品代金の計算方法が変わったときは少し苦労しましたが、私が入社する以前は「そろばん」で合計計算していた時代があったと思うとゾッとします。今ではコンビニやスーパーマーケットなどでは当たり前のようになっていますが、レジで商品のバーコードをスキャンするだけで合計金額が計算されるシステムに変更になっています。
第3位「給料の支払いが現金から振り込みに変わった」については、直接自
分の仕事には関係ありませんが、当時の経理の業務は毎月20日過ぎになると全社員の給料を計算して銀行に取りに行き、それぞれの給料金額を間違えることなく給料明細表とともに給料袋に封入するという仕事があったと思います。1000人以上の給料を毎月計算していたと思うと、作業されていた先輩方に敬服いたします。
さて、私がデパートで働いていた20年の間に、今までお話しした「手計算
で正確な月別売上表をつくる仕事」、「そろばんや電卓で正確に商品代金の
合計計算をする仕事」、「お札を数えて正確な金額を袋に入れる仕事」は無くなったことになります。この他にも手書きの社内文書がPC入力に変わっ
たり、固定電話が携帯電話に変わったことにより、今まで必要とされていた
仕事が無くなり、今まで自分が積み重ねた仕事のスキルや知識が役に立たなくなることにより、新しい仕事のやり方を学び直すという自分の経験が多くあり、またそんな先輩や同僚たちをたくさん見てきました。
このように、職場にデジタル技術が導入されることによって、大きく自分の
仕事の内容が見直されることに対応して、新しい仕事のやり方や仕事のスキルを身につけることを「リスキリング」といいます。日本語では「学び直し」となりますが、「リカレント教育」が一度キャリアを中断して教育機関などに通い直すことを意味しているのに対し、リスキリングは働きながら学んでスキルアップを図るという点で、少し意味が違っています。
これからは今以上にデジタル技術が拡大するDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代です。例えるなら、計算方法がそろばんから(電卓を飛び越えて)急にバーコードに変更になったり、仕事の打ち合わせが固定電話主流から(ポケベルや自動車電話の時代を飛び越えて)急にオンラインのテレビ会議システム主流に変更になったり、駅の改札を通るのに駅員が切符を切る時代から急に「スマホでタッチ」に変わったりと、一気にデジタル化が進む時代がやってきます。企業や自治体などが、このリスキリングの必要性をしっかり理解し、そこで働いている社員や職員の教育体系にリスキリングを組み込んでいくことで、DXの時代に乗り遅れないようにするとともに、
私たち働く側も自分の仕事のスキルや専門性がいつかは役に立たなくなるこ
とを前提に、自分から積極的にリスキリンに取り組んでいくことで、「DXのj時代における新しい働き方」を身につけていくことが私は必要だと思います(終)。 |