今回は、私が講師になるきっかけをいただいた渡部卓氏の新書「折れない心を
つくるシンプルな習慣」からのお話をご紹介します。
人の「幸せ」とは、どのようなものでしょうか。幸せのかたちは、人それぞれ
にさまざまだと思いますが、誰にも共通する幸せの普遍的原則のようなものが
あると思います。つまり、幸せとは、なにか特別な出来事による強烈な刺激
(第一希望の大学や企業に入るとか、一躍有名になるとか、大金を手にすると
か)ではなく、日常のなにげない流れの中に見出す小さな喜びの連続のような
ものではないかと思うのです。ですから、多くを求めすぎず、小さな出来事に
も喜びを見出せる人の方が、幸せは大きい。
幸せの「はひふへほ」という言葉があります。
は=半分がいい
ひ=人並みがいい
ふ=普通がいい
へ=平凡がいい
ほ=ほどほどがいい
求めすぎないこと、不足を不満に思うのではなく、足るを知る心が幸福感を生
むということを示すおもしろい言葉だと思います。また、この言葉は同時に、
がんばりすぎて疲れた心にも効く薬です。成果を求めすぎているときは「は=半
分がいい」、評価を求めすぎているときは「ひ=人並みがいい」、何か特別な刺
激を求めているときは「ふ=普通がいい」というように、がんばりすぎる自分
をなだめてくれます。
ただし、仕事でも、人生でも、「がんばりどき」というものがあります。人生に
は波のようなものがあり、おだやかに過ごすことで幸せなときもあれば、「ここでがんばれば将来の土台ができる」「ここで踏ん張れば必要なものが手に入る」
といったように、いつもより少しがんばることで幸せや自信の土台を手に入れることになる時期もあります。
現実には、仕事の巡り合わせなどさまざまな事情で、私生活を犠牲にしても
短期であればがんばるべきとき、がんばらざるをえないときもあり、常に「は
ひふへほ」ではいられないと思います。しかし、なにかと刺激が多く緊張をし
いられるいまの社会において、いつもがんばりすぎてへとへとになっている人には、「はひふへほ」は無用なストレスを遠ざけ、賢く幸せに生きる知恵だといえるでしょう・・・。
この渡部卓氏の著書「折れない心をつくるシンプルな習慣」(日本経済新聞出版
社)には、この他にも「折れない、柳のようにしなやかな心」をつくるための
さまざまな方法や秘訣が紹介されています。ぜひ一度お読みください。(終) |