いよいよ今年も盆踊りの季節になってきました。盆踊りといえば四国の東側に位置する徳島県の「阿波踊り(あわおどり)」が有名です。かつて徳島県は阿波の国と呼ばれていました。阿波踊りは約400年の歴史があり、徳島県内各地の市町村で開催される盆踊りです。なかでも、徳島市の阿波踊りが県内最大規模で最も有名で、四国三大祭り、日本三大盆踊りの一つに数えられるほどです。阿波踊りは毎年8月に行われ、「えらいやっちゃえらいやっちゃ」「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」といったフレーズはあまりにも有名です。
ただ、この阿波踊り、実は起源はよくわかっていないのだそうです。江戸時代に徳島藩が誕生してから、徐々に原型ができはじめたという説がありますが、どんなきっかけで始まったかなど、詳しくは分かっていません。阿波踊りの起源に諸説ある中で、「徳島の人々が日ごろのストレスを発散するために踊りだした」という説が有力だそうです。
もともと、阿波の国は温暖な気候で、農業や漁業も盛んな土地ではありましたが、山が多く、海に面していたため水害も多かったようで、この地では質素倹約が伝統となっていました。昔から大阪との結びつきも強く、上方で学んだ実利主義を持ち込んだがゆえに培われた気質だともいえそうですが、ともあれ勤勉に堅実にお金を貯めるという性質があったようです。
そんな中、豊臣家家臣の蜂須賀正勝・家政親子が徳島城を築いて、徳島藩主として阿波の国を治めました。当然のことながら、蜂須賀藩では藩民に「質素倹約に努めるように」とお触れを出していたようです。その質素倹約を重んじた蜂須賀家の統治にストレスがたまった徳島の人々が、年に一度のストレス発散として踊りだしたのが阿波踊りの起源だというという説があります。
踊りには三つの形態があり、そのうち最も代表的で今の阿波踊りにも継承されているのが「ぞめき踊り」です。「ぞめき」とは「騒き」と書き「うかれさわぐこと」の意味で、浴衣一枚で気軽に参加でき、庶民が自由に踊れる踊りだそうです。そんなところからも、徳島の藩民が夏になってお囃子(おはやし)が聞こえてくると、体がうずうずして居ても立ってもいられなくなって着の身着のまま踊りだしたのがわかるような気がします。
今年もこれから全国各地で盆踊りが開催されます。みなさんもストレス発散のために盆踊りに参加してみてはいかがでしょうか。何も考えず夢中に踊ることで、普段の仕事の忙しさも忘れることができると思いますよ。(終)
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