今回は、今年4月に新入社員向けのストレスマネジメント研修を担当させていただいて、私が感じたことを書かせていただきます。ちなみに、今年は4月に7社の新入社員研修をやらせていただきました。年々、新入社員向けのストレスマネジメント研修が増えている気がします。
まずは、当たり前ですが「新入社員は若い」と感じました。私は1987年(昭和62年)に新入社員として研修を受けましたが、彼らはまだ生まれていません(大学院卒の方がギリギリ生まれていましたが)。研修を担当させていただいて、逆に彼らから若さというパワーをいただきました。
また、自分が新入社員のときに比べ、彼らの肩に力が入りすぎているのではないかと感じました。私が新入社員であった20年以上前の当時は、新入社員に対する周りの人の「期待」はもっと少なかったような気がします。今の新入社員の両肩には「期待」という重荷がズッシリと載っていて、それか彼らの体の硬さとして表れていたのでしょう。彼らの若さを感じるとともに、「初めからこんなに力が入っていて、このまま仕事を続けられるだろうか」と不安に思う一面もありました。
彼ら新入社員は幼い頃から、親に「あなたはいい学校を出て、いい会社に入って、 私に幸せを感じさせてほしい」と期待され、先生からは「あなたはいい高校・大学に合格して、学校の実績を上げてほしい」と期待され、それに応えてきました。当然、会社からも「あなたは我々の会社に今すぐに貢献して、会社でナンバーワンの業績と生産性を上げてほしい」と期待されていると思っています。
新入社員研修が終了して各職場に配属になり、実際に仕事をやり始めると、自分の思い通りにいかないことが出てきて、その期待に応えられないのではないかと不安な気持ちが沸いてくるでしょう。特に5月や6月になってくると、そんなことで悩む新入社員が増えてきます。学生のときに優秀な成績を残し、親や先生の期待にいつも応えてきた新入社員ほどそんな傾向があると思います。
そんな新入社員と接する方には、ぜひ彼らに伝えていただきたいことがあります。
1956年に映画「知りすぎていた男」の中でドリス・デイが歌った歌のタイトルである「ケ・セラ・セラ」という言葉です。「ケ・セラ・セラ」は「なるようになる」という意味です。「ケ・セラ・セラ」の歌詞は次の通りです。
私がまだ幼かった頃、母に聞いたの。「わたし、大きくなったら何になるの?美人になる?お金持ちになる?」。母は私にこう答えたわ。「なるようになるわ。先のことなんて分からないもの、なるようになるわよ」。
また、学生時代に親や先生から「他の人よりも上を行く」ことを期待されてきた新入社員の彼らには「人と比べて何番目」という考え方でナンバーワンを目指すのではではなく、「オンリーワン」を目指すように指導していただきたいと思います。
自分は世界で一人の特別な存在なのだから、自分の評価は自分でする、自分は自分でいいというオンリーワンの考え方で自分らしさを伸ばす教育が今後の新入社員には必要ではないかと感じました。
新入社員たちに「ケ・セラ・セラ」と「オンリーワン」の2つの言葉を伝えることで、彼らの肩の力を抜くことができ、彼らの若さを最大限に活かすことできるのではないのでしょうか。(終)
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