安全JAWSちゃんのハートLetter
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ハートLetterは産業カウンセラーキティこうぞうがお届けします。
パワーナップ

以前、TBS系のテレビ番組「はなまるマーケット」で埼玉県さいたま市にあ
る住宅リフォーム会社「OKUTA(オクタ)」が紹介されました。紹介されたの は、その会社が導入している「パワーナップ制度」についてでした。「パワー
ナップ(power nap)」とは、一般的に15〜30分程度の短い仮眠のことで、時
間あたりに対する睡眠の効用を最大化する睡眠法とされています。

OKUTAでは社員に1日に1回、15〜20分の短い仮眠を認めています。事前申請は不要です。眠くなったタイミングで各自が自主的に眠りに入ります。社員はドーナツ型クッションなど、昼寝専用の「マイ枕」を机の上に乗せ、その上に伏せるようにして寝ます。枕をしていることが昼寝中という合図になります。枕を置いて寝る他に、「今から昼寝します」という言葉や「ただ今昼寝中」などの表示で伝えるなど、仮眠中であることが分かるようにすれば、周囲が電話を回さないなどの配慮をするそうです。

OKUTAでは「passiv design(パッシブデザイン)」という、自然の力を受動的
に取り入れる家づくりを推進しており、同社の経営者がこの「受動的」という
考え方は社員の健康や仕事の効率向上にもプラスになると判断。「眠気を受け入れて短時間昼寝をすることを認めよう」とパワーナップ制度を導入したそうです。確かに、昼ごはんを食べた後はどうしても眠くなります。午後一番の会議でついウトウトしてしまう・・・そんな経験をお持ちの方は多いでしょう。

パワーナップの基本は正午から午後3時までの間の20分間です。昼寝は、なぜ「午後3時まで」にとらないといけないのでしょうか。 午後の仮眠は、その日の夜の睡眠の先取りになります。だから、遅い時間に仮眠をとると、夜の睡眠に悪影響がでてしまうのです。そのため昼寝は、夕方より前に終わっておく必要があります。また、「20分」という長さが重要です。寝つくとまず、脳の眠りであるノンレム睡眠が現れます。ノンレム睡眠は浅い睡眠と深い睡眠に分かれています。その後、体の眠りであるレム睡眠にかわります。深いノンレム睡眠のときに目覚めようとしても、なかなか起きられません。さらに、目覚めた後に頭が元の状態に戻るまでに、時間がかかってしまいます。浅いノンレム睡眠のうちに、昼寝から目覚めたいものです。これまでの研究では、20分の昼寝では深いノンレム睡眠にならないことが分かっているそうです。

なお、昼寝のときにはソファや長椅子に寝そべって眠るのではなく、椅子にもたれかかるか、机に突っ伏して眠りましょう。そして、眠る前には必ずアラームをセットしておきましょう。また、昼寝前に温かいコーヒーを飲むといいそうです。コーヒーに含まれるカフェインの血中濃度が最大になるのは摂取後20〜30分ぐらいです。つまり、昼寝前にカフェインをとっておくと、目覚めるころに効きはじめてスッキリ起きられるそうです。

厚生労働省は2003年に策定した「健康づくりのための睡眠指針」を今年11年ぶりに改定しました。今回の改定の特徴は、若年世代、勤労世代、熟年世代と年代を3つに分けて、それぞれに睡眠の注意点やアドバイスを明示した点です。
勤労世代には睡眠不足が仕事の能率を下げると指摘し、睡眠時間が十分に取れない場合は午後早い時間帯に30分以内の短い昼寝をするのが効果的と提案しています。この指針に基づき、「パワーナップ制度」を導入する企業が今後ますます増えるのではないでしょうか(終)。

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