安全JAWSちゃんのハートLetter
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ヘルシーカンパニー

今回は、私が一年ほど前に嫁と一緒に観にいった映画「体脂肪計タニタの社員食堂」をご紹介します。この映画は、世界で初めて体脂肪計を売り出した健康機器メーカー「株式会社タニタ」で起こった実話をベースにしたコメディ映画です。

社長の谷田卯之助(草刈正雄)率いる健康機器メーカーの株式会社タニタは世界初の体脂肪計を開発したものの、二代目副社長の幸之助(浜野謙太)をはじめ、太りぎみな社員が多い会社でした。そんな折、新商品発表会のプランを考えることになった幸之助は、タニタの社員たちがダイエットに挑戦するキャンペーンを提案し、その結果をマスコミに発表するという販売促進プランを思いつきます。そこで、幸之助は高校の同級生でダイエットの成功経験がある栄養士の菜々子(優香)のアドバイスを受け、社員食堂のメニュー開発を通じて、社員とともにダイエットに挑みます・・・。

株式会社タニタでは実際に社員食堂のメニュー開発をはじめ、インターネットを活用して社員のからだの状態を「見える化」する集団健康づくりパッケージ「タニタの健康プログラム」導入など、社員に対する健康増進の取り組みを行なっています。2013年にはこの取り組みが認められ、厚生労働省の「健康寿命を延ばそう!アワード」で最優秀賞を受賞しています。このように、企業として社員の健康維持・向上に積極的に取り組む経営を「ヘルシーカンパニー(健康経営)」と呼んでいます。

「ヘルシーカンパニー」という概念は、1980年代にアメリカの臨床心理学者
ロバート・ローゼンが提唱しました。企業が社員の健康維持・向上に積極的に取り組めば、仕事の効率化や職場の活力向上に結び付くとともに、企業の医療保健費の負担も減って、財務の健全化につながるという考え方です。健康管理が不十分なことによる医療保健費負担の増大や、社員のストレスによる自殺、過労死は企業の損失であり、経営判断として社員の健康増進を徹底することが企業の使命であり、「ヘルシーカンパニー」の考えに基づきグローバルな活動を展開している企業では、産業医が経営の中枢にいることも珍しくありません。

従来の企業内の「健康管理」という考え方では、健診で高血圧症や高脂血症の人を見つけ出し、彼らに禁煙や節酒、運動などを実行するように説明しても、なかなか思ったような成果が上がりませんでした。「ヘルシーカンパニー」では、不健康なライフスタイルは個人の意志の弱さのせいにはせず、職場環境の問題と捉えます。そして、職場全体で社員一人ひとりの健康について考え、問題を解決していくのです。このような健全な企業文化を持っている経営が「ヘルシーカンパニー」です。

「ヘルシーカンパニー」では、自己統率力を持つエネルギッシュな人材が育ち、結果として、企業の業績の向上と個人の健康と幸福がもたらされます。また、このような心身ともに健康な社員の多い会社は、社員同士がお互いを尊重し、高め合える健全な企業文化を持っているといえます。

社員一人で自分の健康管理を続けるのは本当に難しいことです。企業が応援し、職場が一体となって健康管理に取り組むことで、社員全員の健康に対する意識は高まっていくのです。企業のトップが「病気になるのは社員個人の責任」と平気で言うような(「ヘルシーカンパニー」には程遠いような)企業は今後は生き残っていけないのではないでしょうか。

ちなみに、映画「体脂肪計タニタの社員食堂」のラストシーンでは、ダイエッ
トに成功した社員があこがれていた栄養士の菜々子にプロポーズしようとするのですが、実は菜々子は・・・この結末は映画のDVDをご覧ください(終)。

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