今回は、みなさんの「悩み」が少しでも軽減されるような話をしたいと思いま
す。人間の悩みの多くは「他人と過去」だといわれています。
<他人>
「職場の先輩は私の意見を聞いてくれない」
「あの人は私のことに理解がない」
「夫が家のことを全然やってくれない」
<過去>
「上司の言うことを聞いていればよかった」
「会社を辞めるなんて言わなければよかった」
「もっと親孝行をしておけばよかった」
カナダ出身の精神科医エリック・バーンの「他人と過去は変えられない」とい
う言葉の通り、他人と過去に対する悩みは変えられないので、延々と悩み続けることになります。それでは、このような悩みを解消するためにはどうしたらいいのか。先ほどの悩みは、次のように言い換えられます。
<他人>
「どうして、職場の先輩は私の意見を聞くことができないんだろう」
「なんで、あの人は私のことを解ってくれないんだろう」
「なぜ、夫は家事を手伝うことができないんだろう」
<過去>
「なんで、あのとき私は上司の言うことに従わなかったんだろう」
「どうして、私は仕事を続ける選択をしなかったんだろう」
「なぜ、親が生きている間に親孝行ができなかったんだろう」
他人と過去の悩みの多くは「なんで」「どうして」「なぜ」で始まり、「〜できない」「〜してくれない」「〜できなかった」「〜しなかった」で終わります。つまり、他人と過去の悩みは文章にするとネガティブな(否定形の)言葉で終わるのです。
エリック・バーンは「自分と未来は変えられる」という言葉も残しています。
そこで、「他人と過去」を「自分と未来」に切り替えます。つまり、他人の
「〜できない」「〜してくれない」を自分の「〜できる」「〜してくれる」
に、過去の「〜できなかった」「〜しなかった」を未来の「〜できる」「〜
していける」に切り替えるのです。そのためには、文章の始めの「なんで」
「どうして」「なぜ」を「どうしたら」「いかにこれから」に切り替えます。
<自分>
「(自分が)どうしたら、職場の先輩は私の意見を聞いてくれるだろう」
「(自分が)どうしたら、あの人は私のことを理解してくれるだろう」
「(自分は)いかにこれから、夫に家事を手伝わせることができるだろう」
<未来>
「どうしたら、上司の言うことに従うことができるようになるだろう」
「どうしたら、仕事を続ける気力と集中力を身につけることができるだろう」
「いかにこれから、自分の親以外の人に貢献していけるだろう」
このように、「〜できない(できなかった)」「〜してくれない」「〜しな
かった」というネガティブな言葉を「〜できる」「〜してくれる」「〜して
いける」というポジティブな言葉に切り替えることによって、他人と過去の悩みを自分と未来の「課題」として考えることができるようになります。
また、これらの言葉は部下や後輩や子供の教育や指導にも使えます。
「どうしたら、目標を達成できるようになるだろうね」
「いかにこれから、みんなで新しい企画を考えていこうか」
「どうしたら、あなたはしっかり勉強してくれるの」
みなさんも自分の悩みや問題を「なんで」「どうして」「なぜ」と考えるのではなく、「どうしたら」「いかにこれから」という未来に向かってポジティブに考えられる言葉に切り替えてみましょう(終)。
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