美しいルビー色、プチプチとした食感と、濃厚な味わいがたまらない「いくら」。
寿司ネタや海鮮丼などに重宝されている高級食材です。
「いくら」は鮭(さけ)や鱒(ます)の卵巣を塩漬けにした加工品のことで、醤油漬けにした場合もこの名を用います。日本には、北洋での鮭、鱒の漁業が盛んになったのちにロシアから伝わったものです。
いくらは何語でしょうか?なんとロシア語です。ロシアでは「魚の卵」をイクラ(ikra)と呼ぶそうです。それがそのまま日本語として使われるようになってよたです。
さて、いくらはいつぐらいから食べられるようになったのでしょうか?
まず、平安時代中期、律令の細則が記された『延喜式』には「内子鮭(こごもりのさけ)」の記述がある。産卵前の卵を持った鮭のこととされるが、どのようにこの鮭が加工されたのかは分かっていません。
江戸時代になると、1697(元禄10)年に人見必大が刊行した本草書『本朝食鑑』に「鮭子(はららご)」の記述があるそこには塩漬けにした筋子をほぐしてばらばらの粒にしたものだと書かれています。
ただしこれは天日乾燥した保存食で、現代のような生のイクラではなかったようです。一方、東北地方では「イクラ丼」の元祖とも言われる「はらこ飯」が江戸時代には食べられていたという文献ものこっています。漁で獲た鮭を煮込んだ汁で米を炊き込み、そこに鮭の身と「はらこ」、つまりイクラを乗せて食べていたようです。明治40年以降になってようやく、イクラはカムチャッカでのサケ・マス漁業の発展によって、ロシア人から伝わりました。
いくらの食べ方といえば、軍艦巻きが一番に思い浮かぶのではないでしょうか。軍艦巻きをつくったのは、なんと銀座の有名すし店「久兵衛」です。ある常連客の「いくら寿司はおいしそうだな」ということから、海苔で囲みいくらをこぼれないようにした ことで「軍艦巻き」が生まれました。
こうして誕生した「いくらの軍艦巻き」は歴史はまだ浅く
誕生してからまだ70年程しか経っていません。
現在では、いろいろなネタが軍艦巻きにされていますが、その元祖はいくらなのです。この「軍艦巻き」が客の間で評判になり、全国に広まったといわれています。
名前の由来は、横からみたところが軍艦に似ているからだということです。
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いくらのきれいなるルビー色は、アスタキサンチンと呼ばれる抗酸化成分です。抗酸化成分は、トマトのリコピンや人参のベータカロテンが知られていますが、なかでもアスタキサンチンの強力な抗酸化作用が注目を集めています。アスタキサンチンには、メラニン色素の生成を抑制する働きがあり、その力はビタミンCよりも高いとされています。メラニン色素の生成を抑えることで、シミやシワなどの肌トラブルを防ぐことができるため、美白や美肌を維持する効能が期待できます。
いくらには青魚に多く含まれているEPA,DHAも多く含まれています。EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などの必須脂肪酸は、サンマやイワシなどの青魚が知られていますが、その割合は「いくら」の方が多いといわれています。
EPAは、血液をサラサラにして動脈硬化を抑える効果があるといわれています。DHAは、脳の働きを活性化し、アルツハイマー病の予防に効果があるといわれています。EPAとDHAは、体内で作ることができない脂質です。製薬会社からサプリメントとして、重要な栄養素として発売されているのはそのためです
いくらは痛風を引き起こすプリン体が多いとの誤解があります。
じつはいくらに含まれるプリン体の量は少なく、他の魚卵と比較しても低く、卵黄の1/2ほどの量しか含まれていません。
いくらの栄養には、良質なタンパク質が豊富に含まれる点も見逃せません。いくらに含まれているタンパク質は、体内で筋肉や臓器・髪や爪などを作るために欠かすことができない三大栄養素のひとつです。また、タンパク質、DHA、EPAを一緒に摂取することで、コレステロールや中性脂肪を低下させる効能が期待されています
最後に、コレステロールも含む食品でもあります。コレステロールは「体に良くないもの」と想像する方もいるかもしれませんが、健康のためには適度に摂ることも必要です。細胞膜の構成成分となる栄養で、健康な細胞の新生には欠かすことができない成分。カラダの健康や生命を維持する効能があります。
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■いくらに含まれる健康成分 |
<アスタキサンチン> 肌荒れ防止/美白効果/抗酸化作用
<DHA> 血液サラサラ効果/アルツハイマー予防
<EPA> 動脈硬化予防/血中中性脂肪低下
<タンパク質> 筋肉・臓器をつくる/エネルギー源
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