桜漬けは、桜の花の「がく」を取り除いた部分を塩と梅酢で漬けこんだ、日本独特の漬物です。
湯呑み茶碗に入れてお湯をさすことで塩漬けの塩が溶け出し、花びらが上に浮いてくる様子はなんともはかなく、美しく優しい気持ちになれます。桜の塩漬けは、お花見でよくみられるは「ソメイヨシノ」ではなく、花びらが多い「八重桜」で作られます。
野生の「桜」の原産地はヒマラヤとされ、ミャンマー北部、中国の雲南省から東南沿岸部、台湾、日本列島、朝鮮半島や千島列島の南部にかけて分布しています。中でも気象条件が適したせいか日本では極めて品種が多くあります。自生種がヤマザクラ、オオヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガン、マメザクラ、カスミザクラなど9種類、これらの突然変異や自然交雑の派生の自生種が100種以上といわれています。
江戸時代からは、人工的に交配させて新しい品種を生み出すことも盛んになり、飛躍的に品種が多くなりました。現代もなお盛んに作出されていて、今ではなんと300種類以上となっています。このように桜の品種は今後まだまだ増えそうです。
花見はいつからはじまったのでしょうか?奈良時代の貴族から始まったといわれています。平安時代には桜を鑑賞するようになりました。初めて桜を花見にしたのは、嵯峨天皇だと言われています(812年)、そのあと貴族の間で花見が大人気になったようです。
一般庶民が今と同じように花見を行楽とするようになったのは江戸時代からです。
徳川吉宗は江戸に花見名所をつくろうと多くの桜を隅田川のほとりに植えました。こうして、身近にお花見ができるようになり春の娯楽としてひろまっていきました。
桜を使ったお菓子は、隅田川沿いの長命寺の寺男が桜の落ち葉になやまされ考案したと言われています。関東では小麦粉の生地で餡を包んだ桜餅、関西では道明寺粉を餡で包んだ饅頭状の桜餅が主流です。
そして、江戸時代末期から桜漬けの生産を始めていたようです。
日本三大桜とは
「山高神代桜」・・南アルプス望む実相寺境内にそびえる根回り18.5mもあるエドヒガンの老巨木
「根尾の淡墨桜」・・宇野千代の小説「薄墨の桜」でも有名な、東西南北に約30mも枝を張るエドヒガンの巨樹。
「三春の滝桜」・・樹齢1000年以上と言われるエドヒガンの変種、日本最古最大の枝垂桜
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桜の塩漬けを作るのに必要なのは、桜の花、塩、梅酢のみです。家に桜の木があったり、お花見で、きれいな桜の花が落ちているのを見つけたりと、桜の花が手に入れば誰でも作ることができます。
桜の葉や花を塩漬けにすると、「クマリン」という香り成分が生成されます。桜の葉を巻いた桜餅の独特の良い香りは、このクマリンによるものです。
クマリンには、抗菌作用や抗酸化作用など、身体に嬉しい作用がある反面、摂りすぎると肝臓や腎臓に有害になる場合があります。クマリンはポリフェノールの一種で、抗菌作用がある他、興奮を鎮めてくれる作用や神経に対しての鎮痛作用、そして睡眠を促してくれるアロマのような効果もあります。また、血流を良くし、むくみの改善にも役立つ成分でもあります。老化やガンを抑制するとも言われており、健康に良い影響がありそうです。先にものべましたが、一度に大量に摂取するのは控えた方が良いでしょう。
桜餅というと、桜の葉の塩漬けで巻かれているものが有名かもしれませんが、桜の塩漬けを乗せてもアクセントになり可愛いさを演出してくれます。木村屋総本店のあんぱんの真ん中に桜の塩漬けがあるのが有名です。
ちなみに、桜餅に桜の葉の塩漬けが巻かれているのは、香りづけはもちろんですが、乾燥防止の目的もあるそうです。桜の葉を餅と一緒に食べる、食べないは、人により意見が分かれるところですが、独特の香りをたのしみながらぜひ一緒にいただいてもらいたいです。 |
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■桜塩漬けに含まれる健康成分 |
<クマリン> 抗菌作用/アロマ効果/鎮静効果
<ポリフェノール> 抗酸化効果/
<タンパク質> 骨や肉とつくる/エネルギー源/
<ナトリウム> 体内水分の調整/神経の機能に関与/
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