「ゆり」は万葉集に名が記されるほど、古くから日本の文化と深く関わってきた植物です。
ユリネは、古くから食用や薬用として利用されてきましたが、鬼ユリ(オニユリ)、小オニユリ(コオニユリ)などの隣茎(球根)です。たくさんの燐片が重なっているこの隣茎の形から「百合」の字が当てられたと言われています。ゆり根の「隣茎」とは、字に「茎」が使われているように、実は「根」ではありません。葉が変形したものです。
ゆりねは3年近くかけてじっくりと育ちます。それだけに蓄えられている栄養はとても豊富で滋養強壮効果があり、産後の回復食としても用いられてきました。ゆりねは南瓜やサツマイモなどのように、収穫してから2〜3ヶ月寝かせた方がデンプンが糖分に変わって甘味が増し美味しくなります。
京都では丹波産が知られています。こちらは8月頃から秋にかけて収穫されますが、北海道では霜が降りる10月頃から年末にかけて主に収穫されます。
正月料理に使われる事が多いので、いずれも12月に出荷のピークをむかえます。
もともと漢方薬として利尿や咳止めとして薬用効果が認められています。イライラや精神不安の解消、不眠、更年期の不定愁訴を緩和するには、はちみつを加えて蒸したものを食べるとよいといわれています。
ほんのり甘くクセのない味はいろいろな料理で美味しくいただけます。天ぷらや、茶碗蒸しに入れたり、スープやあんかけなどで食べられています。加熱するとイモによく似たホクホクとした食感が味わえます。
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