カラフルなドライフルーツが出回っていますが、日本には古来から伝わるドライフルーツが干し柿です。渋柿を乾燥させたのが干し柿で、歴史は古く平安時代の文献「延期式(えんぎしき)」に
ここに祭礼用のお菓子として干し柿が出てきます。
甘柿の登場は鎌倉時代以降と考えられていますから、 それまでは渋柿しかなったわけです。
食べるには、天日干しにしててゆっくりと水分を抜いていくうちに渋味(タンニン)が抜けて甘っていきます。
嗜好品として、砂糖がない時代の甘味として、さらに非常食として農家の副業として受け継がれてきました。
『和生菓子の甘さは干し柿をもって最上とする』という言い回しがあります。昔から和菓子の甘さの基準として使われています。日本最古のお菓子の所以でしょうか。
干柿の表面にはよく白い粉が吹いていますが、もちろんカビではありません。正体は果糖とブドウ糖が表面に出て結晶化したもので、「柿霜(しそう)」といいます。柿霜は砂糖がなかった時代、大変貴重な甘味料でした。柿霜がたくさん吹いていることは、おいしくて甘い干し柿の証明でもあるのです。
干し柿にはいくつかの種類があります。
@ころ柿
漢字で書くと「枯露柿」。水分がもとの生柿の25〜30%程度になるまで干しあげたものです。
石川県の能登地方で特産品。
Aあんぽ柿
水分が50%程度の干し柿。水分が多い分、ころ柿よりもやわらかいのが特徴で“半生(はんなま)のイメージです。富山県のあんぽ柿は有名です。
B市田柿(いちだがき)
長野県特産の干柿。「市田柿」は品種名でもありますが、多くが干柿に使われます。長野県下伊那郡高森町の市田地区が発祥の地と考えられています。
C串柿
「串柿」はお正月の鏡餅に添える縁起物です。あくまでも飾り用であり、とても硬いのが特徴です。
Dつるし柿
山形県上山(かみのやま)市特産。当地特産の紅柿で作ったものを「紅つるし」、平核無柿で作ったものを「蔵王つるし」として出荷しています。真っ白に粉を吹いた干柿を太くて長いビニール袋にぎゅうぎゅう詰めにする商品形態はとてもユニークで、人気があります。 |