黒豆の起源は定かではありませんが、平安時代には既に黒豆が栽培されていたと考えられています。
古来より黒豆は体に良いことが知られており、黒豆の有名な産地である丹波地方や美作地方では、民間療法として咳が出たりのどに痛みを感じる時などに黒豆の煮汁を飲むと良いといわれています。黒豆とは、正式には黒大豆(くろだいず)やブドウ豆と呼ばれる大豆の品種のひとつです。女性ホルモンに似た働きのあるイソフラボンや、脳の働きを高めるレシチンなど健康成分を含みます。
種皮の黒色はアントシアニンの色素によるもので、抗酸化成分が多く、老化防止や視力改善の健康茶でも黒豆茶として人気を得ています。
また、漢方の世界では数千年前より「黒豆衣(こくずい)」と呼ばれる生薬として、様々な症状に利用されてきました。生殖機能にかかわる「腎」の機能に働きかけ、老化予防、血の巡りがよくなるとも言われています。
江戸時代幕末には、お正月のおせち料理として醤油や砂糖で煮た黒豆がすでに広く食べられていたことが書物に記載されており、現在でもお正月に黒豆を食べる習慣は残っています。
お正月に黒豆を食べる所以は、
「黒い色は邪気を払い災いを防ぐ」「黒い色は健康を意味し、マメに達者で皺のよる迄長生きを」という祈りや、「黒」が日焼けを意味し、水田でよく働くイメージにつながります。「丸」が太陽を意味します。「豆(まめ)」は精を出してよく働き、体が丈夫なことにつながると考えられ「一年間の厄払いをして、今年一年元気で働けるように」との願いを込めて、おせち料理に黒豆が食べられるようになったともいわれています。
「豆」の字源は、昔、食物などを盛った木製のふたがついた長い足のある器の形にかたどった祭器で、“たかつき”の意を表した文字だそうです。「まめに暮らす」や「まめまめしい」というように、“豆”には元気や働き者の意がある一方、豆知識、豆電気、豆細工、豆本などのように“小さいもの”を表わしたりします。
小さい柴犬を「豆柴」と呼ぶのもここから来ています。 |