寒天とところてんの違いはなんでしょう?原料はともに天草です。
ところてんは、天草を煮詰めて、煮汁を冷やし固めるとできます。
寒天は、天草にオゴノリなどの他の海藻をプラスして煮詰めて、煮汁を冷やし固めると寒天用のところてんができます。これを凍らせて乾燥さえると寒天になります。形状により棒寒天、糸寒天、粉寒天に分けられます。
ところてんには海のミネラルがたくさんふくまれています。独特の海ぽい臭いがその証拠です。それがちょっと苦手という人もいるかもしれません。一方、寒天はミネラルが含まれていませんが、無臭なので、お菓子でもお惣菜でも容易に使用することができます。それに、寒天の凝固点は40度前後で、室温でも簡単に固めることができます。一度固まった寒天は溶けるのが80度以上なので、一度固まると夏の室温でも溶けだしたりしません。冷蔵庫でなければ固まらないゼラチンと比べるとても扱いやすいのも特徴です。
ところてんは、中国から伝わったと 考えられ、
奈良時代に記された正倉院の記録に登場しています。
平安時代には京都の町で売られていました。
江戸時代には、夏の涼味として広く楽しまれていた らしく、江戸の町を売り歩くところてん売りの姿が、「新文字ゑつくし」に写しとられています。
さらに、江戸時代盛んだった俳諧の夏の季語にもなっています。かの松尾芭蕉もところてんを句に詠んでいます。
「清滝の水汲みよせてところてん」
ところてんは中国から伝わってきましたが、寒天は日本生まれです。17世紀半ば、現在の京都市伏見で旅籠屋を営んでいた美濃屋太郎左衛門が発見した。
と伝えられています。真冬にところてんを戸外に置き忘れたところ、夜中の厳しい寒さで凍り、日中にとけて水分が抜け、また凍ってはとけ、これをくり返すうちに、ところてんより白く、海藻のにおいも消えて、「寒ざらしのところてん」、寒天が誕生した のです。偶然の産物なんです。いまでは寒天は、伝統的な和菓子への利用から、化粧、製造工業、細菌培地、組織培養、医薬品、バイオテクノロジー向けの製品など最先端の分野でも活躍しています。
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