大きな目と真っ赤な魚、インパクトがあるのが金目鯛です。目が金色で魚体が鯛のように赤いことから「金目鯛」という名がついてますが、真鯛や黒鯛などの鯛とは違う種類で、300メートル以上の深海に生息する深海魚です。食用になった歴史は比較的浅く、漁獲の記録が残っているのは明治以降で、一般的に食べられるようになったのは戦後のことです。当初はその外見から「金魚のお化け」とも言われ、かなり安値で売られていたようです。コクと味わいのある脂が乗った白身で、一度食べたら忘れられないおいしさが、時代とともに日本人の嗜好に受け入れられ、真鯛の代わりにお祝いの席などでも取り入れられるようになっていきました。
旬は12〜2月の冬と、夏の産卵期を控えて最も脂が乗る5〜6月頃です。産まれて4年で50cmほどに成長し、大きいものほど脂が乗り美味とされ、値段も高くなります。
金目鯛は主に太平洋側で獲れ、特に静岡県の伊豆半島、千葉県の房総半島、四国の高知県などで漁が盛んです。伊豆の下田港は金目鯛の水揚げ量日本一で、伊豆諸島の大島から神津島にかけて水揚げされる近海ものは「地金目」と呼ばれ、ブランド化されています。
高知の室戸漁港で水揚げされる金目鯛は「室戸キンメ」と呼ばれ、魚体が大きく漁場が近いので鮮度も高く、高値で取引されています。
金目鯛は、刺身、焼き魚、煮魚として食されています。煮ると脂身があるので、ホロホロと柔らかいく・また、小骨が少なく食べやすいことから小さなお子さんやお年寄りでも安心して食べることができます。脂が乗っているので、皮付きで薄切りにし、サッと湯通しするしゃぶしゃぶも近年は人気です。アタマなどのアラも、煮付けや酒蒸しにすると栄養分を丸ごと摂取できるので、あますところがない魚です。 |